
creatorinterviewmacla,inc. 代表/アートディレクター 山崎晴太郎氏 インタビュー
考えながら手を動かし続けることが「何か」に繋がるきっかけになる。
LAST UP DATE 11/19, 2010
macla,inc.の代表として広告・ブランディング・映像・建築と多様なチャネルを横断しながらクリエイティブを提案される、アートディレクターの山崎晴太郎氏。あらゆるジャンルをルーツに持つ山崎氏の手がけるクリエイションの根底には何が流れているのか?デザインに対しての想いに迫りつつ、これからクリエイターを目指す方に向けたメッセージを掲載!


- 1982 年佐賀県生まれ。2005年New York Film Academy修了、2006年立教大学社会学部現代文化学科写真専攻卒業、2009年早稲田大学芸術学校建築科卒業。PR会社クリエイティブディレクターを経て、2008年macla, inc.を設立。ブランディングを踏まえたグラフィックデザインを中心に、WEB・空間・映像と多様なチャネルのアートディレクションを幅広く手がける。“TokyoExperiment Studio”というコンセプトの元、コンセプチュアルな実験的プロジェクトを多数展開。Tokyo Culture Magazine『Apart03』アートディレクター。NYADC会員、JAGDA会員、TDC会員、稲門建築会会員。
macla,inc. オフィシャルサイト
http://www.macla.co.jp/
舞台演出を考えたり、実際に演じたりしてきたことが全てのルーツ。
グラフィック、広告、WEB、建築など多様なチャネルを手がけるアートディレクターとして活躍される山崎さん。まず、最初にお伺いしたいことは「どのような経緯を経て今の多角的なスタイルが築き上げられたのか?」ということ。山崎さんのクリエイティビティのはじまりや、きっかけからお伺いできますか?
今のスタイルのきっかけがあるとすれば、3才くらいから大学卒業までやっていた舞台演劇でしょうか。当時、皆で舞台の演出を考えたり、実際に演じたりしてきたことが全てのルーツになっている気がします。舞台をひとつのコンテンツとして考えると、脚本、演出、映像、照明、そういうところが全て今やっているものづくりに繋がっていると思います。実は、舞台演出家になろうと思った時期もあるんです。

左)Sound Trip Tokyo iPhone App
右)20th J-WAVE LIVE TOGETHER
常にモノを作ることで何かを成したいと思っている。
あらゆるカテゴリーのクリエイティビティが要求されるという意味で、演劇や映画はまさに総合芸術ですよね。その影響もあって、総合芸術的にメディアやチャネルを横断したクリエイティブを提案する方向にシフトされるようになったんでしょうか?
大学時代は写真を専攻していて、留学先のNYでは映画を専攻しました。学生時代は他にもフライヤーやポスター等のグラフィックもやっていたし、VJやダンスやクラブのオーガナイザーのようなこともやっていました。その他にも、写真を学んでいたので、バックパッカーをしながらひたすら写真を撮ったり...。ひょっとしたらバンタンの学生さんと同じような学生時代だったかもしれませんね(笑)。
大学卒業後のPR代理店時代はクリエイティブディレクターとして、プランニングをやりながら、広告や商品発表会等のデザイン制作をしつつ、ダブルスクールで建築を勉強していました。そして、そのダブルスクール中に独立して会社を作ったのでそれまでに色んなことを勉強させてもらったんです。だから、手がけるフィールドを何から何にシフトさせたとか、絞ったという意識はあまりないんですよね。常にモノを作ることで何かを成したいと思っているだけというか。
山崎さんが学生時代から活動していた「Tokyo Experiment Studio」がコンセプトのクリエイティブチーム「macla」。当時の活動について少し教えて下さい。
クリエイティブチーム時代は、『Apart03』というマガジンの実験号を発行したりしました。法人化してから正式に創刊して、今までに4冊創っているんですが、その実験号の0号というのがあって、それを作ったんです。今思うと0号はまだまだ荒いですけど、広告ページはコンセプトを理解してくれそうな会社にアプローチをして、すべて自分たちで作らせてもらった広告だけでやらせてもらったり、色々な実験をしていましたね。総勢7人程で、デザインできる人がデザインして、文章書ける人は文章を書いて、写真を撮れる人が写真を撮って...という感じで楽しかったです。
macla,inc.は今年で7年位、法人化して2年たちますが、僕の中では当時から続いている活動がそのまま法人化されたイメージなんです。

Apart03
デザインの価値を最大化するという意味では、チャネルを限定しないで幅広い視野から考えることが大事。
クリエイターとしての考え方の基本に影響を与えたような、ターニングポイントがあったとすればどの辺りでしょうか?
代理店にいた時に身に付けた感覚が強く影響していると思います。PRの代理店だったので、戦略的なフレームワークを提案する仕事が多かったんですよ。クリエイティブのチャネルに限定しない提案をするような。
例えば、WEBの制作会社だったらWEBのソリューションでクライアントの問題解決をしようとしますよね。紙が強いデザイン会社は紙で解決しようとする。でも、チャネルに限定されなければ「本当に適切なクリエイションは何か?」という視点から考えられるかなと。そうすると例えば、WEBを作りたいという話になっても「今回のケースはWEBじゃなくて、映像の方がいいですよね?」という話ができる。今でも、デザインの価値を最大化するという意味では、チャネルを限定しないで幅広い視野から考えることが大事だと思っています。
代理店を退社して、アートディレクターとして独立することに対して不安などありませんでしたか?
あくまで個人的な意見ですが、僕は"デザインする人は独立しない方が良いんじゃないか?"という気がしています。何故かと言うと、独立してしまうと自分が二人いる感覚になるんです。経営者としての自分と、ものを作る人としての自分。その二人がいないと会社が回らない。最初の頃は寝れない夜もありました(笑)。何が良いのかよく分からなくなってしまって。クリエイターとして突き抜けたモノを作るために考えてることと、経営者として考えなければならないことのどちらを優先するべきか?とかね。
会社に所属していた時と、独立してからでは、何が一番の変化でしたか?
自由であることが全然違いますよね。今は自分の裁量権で全てできる。極端に言うと、業務に役立つのであれば、業務時間内に映画を観にいってもいいし(笑)。そういう方向に、舵をとれることは大きいと思います。
macla,inc.の事務所は、オシャレなインテリアに囲まれていますよね。きっと、「ここで働きたい!」と思うデザイン系学生や転職希望者も多いんじゃないでしょうか?何かmacla,inc.の社風のようなものはあるのでしょうか?
スタッフにはコミットメントがあれば良いと思っています。成長までに時間がかかってもいいから、コミットメントする力が高いというか。そのコミットメントが、その人の夢とシンクロするイメージだと強いと思う。macla,inc.はチャネルが広いので、変に建築、WEB、グラフィック等と固まりすぎていない方が良いかもしれません。新しいジャンルを拡げて行きたいと考えている人は向いていると思います。

macla,inc. office
「コンシューマーに何がどこまで響くのか?」ということに興味がある。
オフィシャルサイトにもメッセージが掲載されている、「デザインで人のきもちをうごかすこと」というmacla,inc.のコンセプトにとても共感します。デザインを通して、人に前向きなメッセージを与えるという事が山崎さんのクリエイティブに対する考えの根底に流れているのでしょうか?
広告を作るとしたら「この広告は誰が喜ぶ広告なのか?」という事を必ず考えます。つまりは、誰のための広告か?ということ。その広告を作ったことによって、「コンシューマーに何がどこまで響くのか?」ということに興味があるんです。
それが例えとして一番分かりやすいのは、プロダクトとか建築だと思っているんですよ。プロダクトや建築のクリエイティブは、生活シーンの一部としてコンシューマーの一人ひとりがモノへの対価としてお金を払うことになりますよね。そういう関係性にとても魅力を感じます。
実際に仕事かどうかは別にして、最終的には僕の周りにいる友人や大切な人が家を建てる時に、個人住宅のデザインをやってみたいんです。
家をデザインするってことは、その人の一生に沿った「生き方」を踏まえなきゃいけない。家族構成や子育てのプランなどいろんな想いがある中で、家を建てるなんて一生の中できっと一度かニ度あるかないかという大きな決断だと思うんです。そんな大きな決断の時に、デザイナーとして自分を指名してもらえたらそんなに嬉しいことはないですね。

cluh(ダイニング&ギャラリー)
まさに、クリエイター冥利に尽きるでしょうね。
僕が高校1年か2年の時に、劇団四季のライオンキングを見に行ったんですよ。始まって3秒くらいで何故か涙が出てきてしまったんです。人間って、泣きそうなときって「泣いちゃえ」みたいな感じってあるじゃないですか?「今泣いたらイケてる!」みたいな(笑)。でも、その時は熱いものに触ったときに瞬間的に「熱い」と感じる反射のような感覚だったんですよ。あの感覚は、後にも先にも一度きり。
そういう類のものを、自分もいつか作りたいと思ってるのかもしれませんね。
留学の経験が"自分にしか作れないものは?"ということを徹底的に考える機会に。
今、クリエイティブの業界はどんどんワールドワイドに拡がっています。クリエイターとして、「日本」とか「海外」を意識されたりしますか?
日本や海外の見方に関しては、留学していた時の経験が大きいですね。普通、何か気取ったものを創りたくてNYとか海外に留学しに行くじゃないですか。でも、向こうではそういうものは全然評価してくれないんですよ。逆に、ものすごい怒られる(笑)。「何で、そんなもの作ってるんだ!」とか。「自分にしか作れないものは何なんだ?」とか。"自分にしか作れないものは?"ということを徹底的に考えるようになりました。
僕は「日本人」として生まれて今生きているので、そこはやっぱり自分自身のルーツとして大事にしたいと思っています。ちなみに、macla,inc.という名前も落語のまくらから取っているんですよ。
アートディレクターという仕事柄、産みの苦しみというか、スランプに陥ることもあるのでは?と思います。その時に、山崎さんならではの対処法などありますか?
基本的にスランプはあまりないんですが、一回だけ強烈なのがあるんです。その時は、とにかく手を動かして、動かして、動かしましたね。途中で「違う!」って分かっても手を動かす(笑)。逃げずに、立ち向かえという感じでしたね。待ってても、解決しないですし。

広告、ブランディング、サイン、タイポグラフィ、建築...それらを全て一つに統合するような仕事を死ぬまでにやってみたい。
今後のmacla,inc.の展開として、思い描く未来像のようなものがあれば、お聞かせください。
直近の話で言うと、来年くらいから海外のアプローチを始めてみたいと思っています。海外に日本のクリエイティブを広めていきたいですね。今後手がけてみたいものとしては、業態でいうと最終的には、建築、映画を手がけてみたいかな。
建築の仕事としては、国際空港なんかを作ってみたいんです。空港って、色んな要素が統合されていますよね。特に、国際空港は、国同士の入り口であって、出口でもある特殊な空間。いろんな人が関わる場所で、そこを一気通貫できるようなクリエイションをやってみたいです。きっと、国をデザインする感覚に近いのかなと思うんですよね。
macla,inc.のメインの事業はブランディング・デザインですから、広告、ブランディング、サイン、タイポグラフィ、建築...それらを全て一つに統合するような仕事を死ぬまでにやってみたいですね。
話は変わりますが、JR原宿駅のファッションボード用にmacla,inc.さんに手がけて頂いたバンタンデザイン研究所のクリエイティブが2010年11月現在、掲載中です。バンタンデザイン研究所というデザインスクールのコンセプトが、今回のクリエイティブに落ちるまでの話を聞かせて下さい。
まず最初に、"バンタンデザイン研究所ってどういう学校なのか?" "一番の売りは何か?" と考えました。その中で、他の学校との差別化ポイントは、ファッション以外にも色々な学部があるところ。具体的には、様々な分野の学生がセッションして作品を創り上げる「セッションワーク」という授業にみられるような、学部間の連動性という特色にフォーカスするのが一番伝わりやすいのではと思いました。セッションというものはクリエイターとして仕事を始めてからも役に立つものだし、参加する学生は様々な方向から刺激を受けることができる。
その特色を表現するクリエイティブとして、サッカーとか、新体操とか、オーケストラとかいろんなアイディアがあったんですけど、最終的にはサーカスをモチーフにする事にしました。今回はモデルとして学生に参加してもらったので「繋がる、作る、魅せる、超える。」というコピーと共に、サーカスの世界観に合わせて、少しクラシックなテイストのクリエイティブで表現しています。

Vantan Design Institute
考えながら手を動かし続けることが「何か」に繋がるきっかけになる。
VANTAN SCAPEの読者の中には、デザインやクリエイティブを仕事にしたいと考えている方や、業界に入ってまだ間もないクリエイターも多くいます。読者に向けてのアドバイスを頂けると嬉しいです。
あまり偉そうなことは言えないんですけど、敢えて言えば、「思考を止めない」ということ。考え続けて、工夫をし続けて、手を動かし続けていれば、どこかで誰かが作ったものを見つけてくれたり、何かに繋がるきっかけになったりするんじゃないかと思います。
「私は絵の人だから」と決めてしまう人がいたとします。それは、それでいいと思うんです。でも、考える幅をそこで止めてしまうのは勿体無いと思ってしまうんですよね。例えば、その絵にたったひとつの言葉をつけることで、リーチできる人はあと5000人増えるかもしれない。そうしたら、その方がいいんじゃないかなと。そんな風に、考えや工夫をし続けることですかね。
ポートフォリオを見る機会もよくありますが、ただ「まとめているだけ」の人もいれば、お弁当箱みたいに「伝えることに凝る」人もいる。見せる相手の気持ちを考えることで、今自分に求められていることが分かるようになるんじゃないでしょうか?
実は、そこに思考の深さが差として出てくるんだと思います。
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建築家・プロダクトデザイナー 板坂諭氏 インタビュー
国境や言語の壁を乗り越えて、社会の良き代弁者としてデザインに取り組み、メッセージを世界へ向けて発信していきたい。
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インテリア・プロダクトデザイナー×バンタン講師 柴田映司 インタビュー
チャレンジに「失敗」は無い。外に出て、人と人とが掛け算になるような出会いをたくさん経験して欲しい。
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常に、自身の「判断」と「意志決定」に後悔のないように生きてほしい。
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エリートである必要なんて無い。誰にでも可能性はあるんだから。






















